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作成日:2023/10/19
2023年10月19日号 中小企業における「人的資本経営」および「ジョブ型雇用」の人事労務管理!




 いつもお世話になります。ドラえもん社労士でBSC戦略コンサルタントの光吉です。

 

 今回は、中小企業における人事労務管理について、社会保険労務士として率直な意見を述べたいと思います。

 

 昨今の労働行政の厳格化は、労働人口の減少を補う女性や高齢者の労働参加、子育て支援や休暇の取得促進、時間外労働の削減によるワークアンドバランスや健康経営、安心安全な職場環境の実現等の社会の変化や社会の要請により、必然的に中小企業にも求められているものです。

 

 もちろん、労働関係法令を遵守することは絶対的に重要ですし、何よりも尊重され優先されなければいけません。労働関係法令を遵守しないということは、行政による法的な制裁を受ける可能性があるというだけではなく、従業員に訴えられ高額な未払残業代や損害賠償額の支払い、社会的な信用の失墜、離職者の増加や求職者の激減等の労務リスクをかかえることになります。

 

 労働関係法令を100%遵守して中小企業が成長し続けるためには、適正な残業代の支払いや時間外・休日労働の削減、育児休業・介護休業・年次有給休暇の高い取得率の実現、従業員の定着や求職者が増加する働きやすい職場環境や高い賃金、高い生産性や高い利益を生み出す付加価値の創造、育児や介護の休業や年次有給休暇を取得する従業員の業務を代替し生産性を減少させない適正な従業員数が必須になります。

 

しかし、どうでしょうか。以前のメルマガで書かせていただきました「人的資本経営」については大企業の話だろうと思っていませんか。

 

 中小企業こそが「人的資本経営」を行い、高い生産性や高い利益を生み出す付加価値を創造しなければいけません。労働関係法令を遵守するのが精一杯という従来の人事労務管理だけを行っていては、高い生産性や高い利益を生み出す付加価値の創造の実現でしか生み出せない、従業員の定着や求職者が増加する働きやすい職場環境や高い賃金は実現しません。

 

 ましてや、大企業は政府の方針に沿って「人的資本経営」とともに「ジョブ型雇用」を実現しようとしています。日本の労働市場をのみ込もうとしている巨大なムーブメントの2つの核が「人的資本経営」という新たなマネジメントのスタイルであり、「ジョブ型雇用」という雇用形態です。

 

 政府が、また大企業が実現しようとしている「ジョブ型雇用」とは、従来の新卒一括採用のメンバーシップに基づく終身雇用が前提の年功的な人に仕事を当てはめる職能給による雇用から、仕事に人を当てはめる人材の流動化が前提のジョブ型の職務給による雇用に見直すことです。

 

 政府が、また大企業が「ジョブ型雇用」を実現しようとしている最大の理由は、現状では低過ぎる日本の労働生産性を、「ジョブ型雇用」への転換で一気に高めたいからです。

 

大企業において「人的資本経営」と「ジョブ型雇用」が実現され浸透拡大していった場合に、労働市場でまず間違いなく発生するのが、人材のさらなる流動化であり、人材獲得競争のこれまでにないほどの激化です。特に人材の引き抜き先として狙われるのが、賃金が大企業より安い中小企業の優秀な期待人材です。地方は大丈夫でしょうと安心はできません。大企業が、「人的資本経営」と「ジョブ型雇用」により労働生産性を高めるために、地方の中小企業の優秀な期待人材を直接的に引き抜いたり、地方の中小企業を傘下に吸収して間接的に引き抜くことも考えられます。

 

中小企業における人事労務管理は従業員の採用や雇用から労働条件の設定、労働関係法令の遵守、労働トラブルの予防や解決など、人材に関わる様々な業務を含みますが、もはや労働関係法令を100%遵守して中小企業が成長し続けるためには、中小企業においてこそ「人的資本経営」と「ジョブ型雇用」を取り入れるべきではないでしょうか。付加価値の創造や生産性の向上や品質の向上と、その実現による顧客満足度の向上につながる従業員満足度の向上を課題としない人事労務管理は、机上の空論と言える時代になったのではないでしょうか。

 

 中小企業においても、「人的資本管理」と「ジョブ型雇用」を取り入れた、付加価値の創造や生産性の向上、品質の向上と、その実現による顧客満足度の向上につながる従業員満足度の向上を課題とする適切な人事労務管理の実践により、顧客満足度の向上につながる従業員満足度の向上と組織の成果を向上させることができます。

 

 財務指標だけに偏った従来の経営指標を、4つの視点で考察する論理的な持続可能な経営の管理手法であるバランススコアカードによると、「人材と変革の視点」における経営課題は人的資本の強化であり、「業務プロセスの視点」における経営課題は付加価値の創造や生産性の向上、品質の向上、顧客満足度実現策です。「人的資本経営」および「ジョブ型雇用」における人事労務管理の範囲は、バランススコアカードでは「人材と変革の視点」および「業務プロセスの視点」ということです。

 

中小企業において人事労務管理は、中小企業の持続可能な成長を左右する重要な業務です。しかしながら、中小企業においては人事労務を担当するスタッフやリソースが限られています。経営労務の課題解決の支援をする外部専門家および社外総務部長や社外人事部長としてのアウトソーシング先として、企業様の成果に結びつき、企業様の持続可能な成長のための伴走者として是非に当事務所を選択していただければと願います。それは、企業様の持続可能な成長のためのサステナビリティな人的資本強化の経営労務支援が、当事務所のミッションであると考えるからです。

 

 三方よし(社員満足⇒顧客満足⇒会社満足)の人的資本と生産性を最大化にする当事務所の経営労務コンサルティングにご興味がある企業様および経営者様は是非にご連絡ください。以上の当事務所の経営労務支援の内容やBSC戦略労務や人的資本経営、ジョブ型雇用等の記事については、当事務所のホームページおよびメルマガにて、これからも随時掲載させていただきます。

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