ドラえもん社労士のBSC戦略労務メルマガ 2022年12月6日号
いつもお世話になります。ドラえもん社労士でBSC戦略労務コンサルタントの光吉です。
会社経営は、「ヒト」「モノ」「カネ」(人材・設備・資金)と言われています。それらの経営資源を充実させる助成金が厚生労働省から数多く提供されています。そのほとんどが業種を問わず活用できるものです。
厚生労働省が提供する助成金は、雇用保険料を財源とし、雇用保険事業の一部として雇用の維持や生産性の向上、働き方改革を目的に支給されます。雇用保険は5つある社会保険の1つであり、社会保険労務士法では、この社会保険の専門家として社会保険労務士が規定され、厚生労働省が提供する助成金の申請については会社が直接申請する以外は社会保険労務士しか行えない業務であると規定されています。
社会保険労務士事務所ではない助成金のアウトソーシングを行う会社が助成金の申請代行業務を行うことはできないばかりか、助成金のアウトソーシングを行う会社が社会保険労務士と提携して助成金の申請代行業務を行うこともできません。助成金の申請代行業務については、社会保険労務士と顧客である助成金の申請者が直接に業務委託契約を締結しなければ違法になります。違法業者である助成金のアウトソーシングを行う会社に申請代行を依頼して助成金が支給された場合、不正受給と判断され支給された助成金の返還だけではなく違反金の支払いや会社名の公表といったペナルティが課される可能性があります。
社会保険労務士による厚生労働省の提供する助成金の申請代行の報酬については、着手手数料として3万円程度をいただくところもありますが、代行手数料報酬は助成金が厚生労働省から顧客である助成金の申請者に入金してからの社会保険労務士への支払いになります。助成金の入金前に報酬の全額を支払わせることはありえません。なぜならば、厚生労働省の提供する助成金は要件さえあえば支払われるということになっていますが、この要件にあてはまるかのチェックが労働諸法令を守っているかおよび助成金を支払う要件を満たしているかをチェックするものでありますから、当然不支給もあり得るからです。
また、助成金を受給後において、不正が疑われる場合で無くても抜き打ちに労働局の事業所訪問および立入検査の可能性があり、労働局の事業所訪問および立入検査では助成金支給の要件を満たしているかおよび助成金の申請書類や関係書類が備えられているかをチェックされます。
助成金申請の要件として、社員が常時10人以上の場合は就業規則の労働基準監督署への届出および社員への周知が必須です。この就業規則が助成金を取ろうがための実態とかけ離れたものであってはなりません。本メルマガの2022年11月1日号で記載しました、必要な人財が定着する三方よしの就業規則でなければならないと思います。そのためには、遠方からの電話ではなく、直接に社会保険労務士が数回に渡り直接訪問して経営者にヒアリングし、経営者の思い描くあるべき姿の雇用環境と労働諸法令を照らし合わせたうえで作成し、経営者と社員に周知説明し納得を得た就業規則であるべきです。
社員の雇用環境や処遇に経営者が心を砕けば、業務を工夫して業務の品質や生産性を高めることに社員が心を砕き、その結果としての業務の品質やサービスに顧客が心を満たし、その結果としての会社の業績に経営者が心を満たします。社員の雇用環境や処遇をうたった就業規則は業績を左右するほどに重要であると私は考えます。
社会保険労務士にしかできないのが、助成金の申請代行業務、就業規則作成業務です。会社の人事労務の状況や経営事情、社内事情を把握した長くおつきあいできる社会保険労務士にお任せいただく業務であります。
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